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2024年のZEH補助金はまだ間に合う!?概要から申請方法まで徹底解説

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)について

ZEHって何?省エネのしくみをわかりやすく解説

エネルギーを自給自足できる家―それがZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)です。一般的な住宅の消費エネルギーを大幅に減らし、太陽光発電などで創るエネルギーを組み合わせることで、年間の消費エネルギーを実質ゼロにする住宅のことです。

具体的には、次の3つの取り組みを組み合わせて実現します:

  • 断熱性能を高めて、冷暖房の消費電力を抑える
  • 高効率な設備機器を使って、無駄なエネルギー消費を減らす
  • 太陽光発電で電気を創り出す

従来の家と比べると、夏は涼しく冬は暖かい快適な住まいを実現しながら、電気代を大幅に節約できるのが特徴です。

なぜ今、ZEHが注目を集めているの?

ZEHが注目される背景には、3つの大きな社会的な変化があります。

  1. 電気代高騰への対策 ここ数年で電気代が急激に上昇し、多くの家庭で家計の負担が増えています。ZEHなら太陽光発電で電気を自給自足できるため、電気代高騰の影響を受けにくい暮らしが実現できます。
  2. 脱炭素社会に向けた動き 2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、住宅分野でもCO2削減が求められています。ZEHは環境負荷を大きく減らせることから、これからの標準的な住まいとして期待されています。
  3. 補助金制度の充実 2025年に向けて、ZEH補助金制度がさらに拡充される予定です。新築住宅の補助額が増額されるだけでなく、既存住宅のZEH化に対する支援も強化されます。

また、快適性の面でも注目が高まっています。高い断熱性能により、家中の温度差が少なく、ヒートショックのリスクも軽減。在宅時間が増えた現代のライフスタイルに、より適した住まいとして評価されているのです。

このように、経済面・環境面・快適性の面から、いま多くの人がZEHに関心を寄せています。次の章では、2024年現在受付中の補助金制度について詳しく見ていきましょう。

ZEHの種類と定義

ZEH

以下の①~③の全てに適合した住宅

  1. 強化外皮基準(1~8地域の平成28年省エネルギー基準(ηAC値、気密・防露性能の確保等の留意事項)を満たした上で、UA値1、2地域:0.40[W/㎡K]以下、3地域:0.50[W/㎡K]以下、4~7地域:0.60[W/㎡K]以下)
  2. 再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減
  3. 再生可能エネルギー等を加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減
    ※エネルギーに係る設備については所有者を問わず、当該住宅の敷地内に設置されるものとする

ZEH+

ZEH+は、ではZEHのすべての条件に適合していることに加えてさらに以下の3つの選択要件から、2つ以上を選んで導入することが必要です。

外皮性能の更なる強化

住宅の外皮性能は、地域区分ごとに定められた外皮平均熱貫流率(UA値)を満たしていること。

地域1地域2地域3地域4地域5地域6地域7地域8地域
ZEH+基準(UA値)0.300.300.400.400.500.500.50-
ZEH基準(UA値)0.400.400.500.600.600.600.60-

高度エネルギーマネジメントの設置

HEMS(Home Energy Management System)により、太陽光発電設備等の発電量等を把握したうえで、住宅内の冷暖房設備、給湯設備、省エネ設備等を制御可能であること。
設置する設備はHEMSで制御出来る認証を取得した機器であることが必須となります。

電気自動車を活用した自家消費の拡大措置のための充電設備又は充放電設備の設置

太陽光発電設備等により発電した電力を電気自動車(プラグインハイブリッド車を含む)(以下「EV」という。)に充電を可能とする設備またはEVと住宅間で充放電することを可能とする設備を設置すること。
なお、EVの所有の有無は問いません。

ZEHの導入で得られる4つのメリット

光熱費の大幅な削減を実現

従来の住宅と比べて、年間の光熱費を50-80%程度削減できます。
一般的な4人家族の場合、月々の光熱費が15,000円から3,000円程度に抑えられるケースも。太陽光発電による売電収入と合わせると、実質的な光熱費はさらに下がります。

特に電気料金が高騰している昨今では、その効果は一層顕著です。

一年中快適な室内環境を実現

高性能な断熱材と気密性の高い構造により、夏は涼しく冬は暖かい快適な室内環境を保てます。

まず、リビングから浴室、トイレといった生活空間の温度差が大幅に抑えられるため、高齢者に特に危険とされるヒートショックのリスクを軽減できます。
また、室内の温度が安定することで結露の発生を抑制でき、カビやダニの発生を防ぐことができるため、アレルギー症状にお悩みの方にも安心な住環境となります。

さらに、高い気密性により外部からの騒音も軽減されるため、都市部でも静かでストレスの少ない住空間を実現できます。

将来を見据えた資産価値の維持

省エネ性能の高い住宅は、将来的な資産価値の維持が期待できます。
現在、建築業界では省エネ住宅の評価基準が年々厳格化されていますが、ZEH住宅は既にその基準を大きく上回る先進的な性能を確保しています。

また、第三者機関による住宅性能評価やBELS等の認証制度を通じて、住宅の性能が客観的に証明されるため、将来的な売却や賃貸を検討する際にも、その価値を明確に示すことができます。

このような特徴から、従来の住宅と比べてリセールバリューの維持が期待でき、長期的な資産としての価値を保ち続けることができます。

地球環境への貢献

CO2排出量を大幅に削減し、環境負荷を低減できます。
一般的な住宅と比較して年間のCO2排出量を50%以上削減できることが大きな特徴です。
これは太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーを積極的に活用することで実現しており、化石燃料への依存度を下げることにも貢献しています。

このような住宅の普及は、日本が掲げる2050年カーボンニュートラルという環境目標の達成に向けた、具体的な取り組みの一つとして高く評価されています。

ZEH導入におけるデメリットともいえる3つの課題

従来住宅と比べて高くなる初期費用

ZEH仕様の住宅は、標準的な住宅と比べて建築費用が割高になります。
これは一般的な住宅では使用しない高性能な断熱材や最新の省エネ設備機器を導入する必要があるためです。

さらに、エネルギーを創出するための太陽光発電システムの設置や、家全体のエネルギーを効率的に管理するためのHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)等の導入も必要となります。
ただし、これらの費用は国や自治体が提供する補助金を活用することで軽減が可能です。また、光熱費の大幅な削減効果により、長期的に見れば初期費用の回収も期待できます。

定期的なメンテナンスの必要性

先進的な設備機器を多用するため、適切な維持管理が重要です。
特に発電効率を最大限に保つために太陽光パネルの定期的な点検や清掃作業が欠かせません。

また、空調や給湯などの各種設備機器についても、性能を維持するための定期的なメンテナンスが必要となります。
さらに、家全体のエネルギーを管理するHEMSについては、システムの安定性と最新機能を維持するためのソフトウェアアップデートも必要です。これらの管理費用や定期的なメンテナンスにかかる手間については、事前に十分な計画を立てておくことが大切です。

土地や建物の条件による制約

すべての場所でZEHが実現できるわけではありません。
土地の向きや位置によって日照条件が十分に確保できない場合、太陽光発電システムの発電効率が大きく低下してしまう可能性があります。

また、都市部の狭い敷地では、ZEHの基準を満たすために必要な面積の太陽光パネルを設置できないケースも少なくありません。

さらに、周辺に高い建物や大きな樹木がある場合、それらが作る日影の影響で発電効率が著しく低下することも考えられます。
このため、ZEH住宅の建築を検討する際は、土地の条件や周辺環境について計画段階での綿密な検討が必要です。

2024年受付中のZEH補助事業 令和6年度戸建ZEH公募情報(一般公募)

ZEH補助事業は年間の一次エネルギー消費量が正味でゼロとなることを目指したZEH住宅またはZEH+と呼ばれるさらなる省エネを実現し、より効果的な設備の運用により太陽光発電等の自家消費の拡大を目指した戸建住宅を新たに建築、または新築建売住宅を購入する事業が対象となる補助金制度のことです。

2024年11月現在令和6年度のZEH補助金、「一般公募(単年度)」はまだ受け付けていますが、その残数から来月の半ばまでには終了してしまう可能性が高いです。

そこで

補助対象者と対象となる住宅

ZEH補助金の対象者は、「新築住宅を建築ないし購入をする個人」「新築住宅の販売者となる法人」の二者となります。
また、対象となるのは「ZEH+」、「ZEH」、「Nearly ZEH+※1」「Nearly ZEH※1」、「ZEH Oriented※2」のいずれかのZEH基準を満たした住宅です。
1:寒冷地、低日射地域、多雪地域に限る
2:都市部狭小地等の二階建以上又は多雪地域に限る

ZEHおよびZEH+の補助額

ZEHの種類補助額
ZEH55万円/戸
ZEH+100万円/戸

ZEH及びZEH+における追加設備等による加算

追加補助対象設備追加補助額
蓄電システム上限20万円
直交集成板(CLT)定額90万円
地中熱ヒートポンプ・システム定額90万円
PVTシステム65万円、80万円、90万円
(注)方式、パネル面積により異なる
液体集熱式太陽熱利用システム 12万円、15万円
(注)パネル面積により異なる
ZEH+の選択要件ハイグレード仕様補助金
1.外皮性能の更なる強化

2.高度エネルギーマネジメント

3.電気自動車を活用した自家消費の拡大措置
25万円/戸
加算後:
定額125万円/戸
1.外皮性能の更なる強化

2.高度エネルギーマネジメント
10万円/戸
加算後:
定額110万円/戸
1.外皮性能の更なる強化

3.電気自動車を活用した自家消費の拡大措置

個人の方の補助金の申請方法

ZEH補助金に申請用ポータルサイトには個人、本社、支社と3つアカウントの種類が存在し、ここでは個人の方の申請方法を紹介します。
以下の手順に沿って、残り僅かの期間なので、スムーズに申請を行いましょう。

1.アカウント発行依頼書をダウンロード

ホームページより「アカウント発行依頼申請書(手続代行を介さない個人申請者向け)」(Excel)をダウンロードします。

戸建てZEH 個人用アカウント発行方法

2.アカウント発行依頼申請書へ必要項目を入力

Excel内の入力見本に従って「アカウント発行依頼申請書」の必要項目を入力してください。
入力内容は以下を参照。

3.ZEHポータルURLへログイン

アカウント発行完了後、申請書へ入力したメールアドレスへ「【ZEHポータル】要保存‐アカウント発行のご連絡」が通知されるので、
メール文記載のZEHポータルURLへ24時間以内にアクセスしてください。
ログインのために必要なID(ユーザ名)の記載があるため、メールは必ず保存してください。

4.パスワードの変更

初回ログイン時は右図のパスワード変更画面が表示されます。
条件を満たす任意のパスワードを設定し、「パスワードを変更」をクリックし、初回ログインを完了させてください。

申請手続き

ここからは、SII ZEHポータルサイトにログインして、実際に申請の手続きを行っていくこととなります。
これ以降は、補助金サイトにて掲載されている交付申請用マニュアルをご覧いただくことで、スムーズに申請がおこなるかと思います。

マニュアルはPDFで掲載されていますので、以下のURLからご参照ください。

ZEHポータル・マニュアル 一般公募(単年度)交付申請編

ZEHポータル・マニュアル 一般公募(複数年度)交付申請編

最後に

ZEHは、省エネと快適性を両立させた次世代の住まいとして注目を集めています。
確かに導入時の費用や土地条件などの課題はありますが、光熱費の大幅な削減効果や環境への貢献、さらには充実した補助金制度により、長期的な視点では大きなメリットが期待できます。

住宅は何十年も使い続ける大切な資産です。
これからの時代に求められる性能と、家族の快適な暮らしを実現できるZEHをぜひご検討ください。

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